ホームページ タイトル



社会主義の展望シリーズ 第5弾






(韓国・プロレタリアネットワークニュース・2009年11月21日)

http://blog.daum.net/pnn518

 

(プロレタリアネットワークニュースに掲載された、韓国・社会主義労働者連合<社労連>機関紙の記事)

 

 

 

 

 

 

社会主義労働者政党建設準備会(社労準)は、

 

チャベスに対する危険な幻想を吹き込みたいのか?

 

 

 

社会主義労働者政党建設準備会(以下、社労準)は、少し前、自身の機関紙に、チャベスが主導する統合社会主義党[以下、統社党]が、‘社会主義への移行の加速化を準備’していると言う記事を載せた。(<問題は資本主義だ>9月2日付。 訳者注―当サイト別掲、<ベネズエラ統合社会主義党:社会主義への移行の加速化を準備する>を参照)

 

そして社労準の学生会は、10月10日、駐韓ベネズエラ大使に会い‘ベネズエラの革命の話を通して、もう一つの可能性と自信感’を貰ったと言って、こんな出会いを‘一回性’に終わらせるのでなく引き続き‘つなげていく事にした。’(<問題は資本主義だ>12号)

 

こんな歩みを通して、社労準は今、韓国の労働者達に新しい社会主義革命に対する希望を吹き込んでいるのか、それとも、チャベス政権に対する、まことに危険な幻想を吹き起こし、韓国労働者らに思想的混乱を吹き込んでいるのではないか?

 

 

もっともらしい言葉に、騙されては駄目だ

 

 

真摯な革命家ならば、当然、言葉ではなく行動を通して人物を評価しなければならない。

スターリンは、1930年代に‘社会主義の勝利’を語ったが、労働者階級を極悪に搾取したし、ボルシェビキ革命家たちを大々的に粛清し、強制集団化の過程で農民たちも大虐殺した。こんな場合、‘社会主義が勝利した’と言う言葉で、スターリンを‘偉大な社会主義の指導者’と評価する事が、なんと滑稽で愚かな事ではないであろうか?

 

韓国の御用代名詞である、現代重工の、オ・ジョンセは、いま‘労組が使用者側から独立性を守らなければならない’と語っている。労組専従者の賃金支給禁止を取り入れる為だ。今年春に没交渉を宣布しながら、殻だけだった労組の独立性さえ完全にうばってしまった者が‘労組の独立性’を言いふらすとは?この事例もまた、行動を通して真実を把握しなければならないのであって、もっともらしい言葉に騙されては駄目だと言う点を良く教えてくれる。

 

 

チャベスは、社会主義革命の指導者なのか?

 

 

ところで、チャベスと関連して社労準の新聞が(或いは社労準の活動家達が)そんな間違いを犯していると見える。“8月4日チャベスは自身の役割が、‘ボリバリアン革命の加速器を続いて踏む事’と明らかにしながら、‘今日ベネズエラで、我々は真の社会主義的民主主義を創造している。’と主張した。”(<問題は資本主義だ>9月2日付)こんな文章を通して、社労準新聞はチャベスが‘革命の加速器’を踏みながら‘真の社会主義的民主主義を創造’している様な幻想を吹き込んでいる。

        


しかし、チャベスはどんな者なのか?チャベスは、反動勢力とも円満な関係を維持する為に、2002年反革命クーデターの首謀者達を赦免した。大企業らと親しい軍将校を、副統領にまで任命した。2005年8月に働き場所の増大などを要求し、エクアドルの石油労働者達が罷業を行い、石油輸出を中断させたとき、チャベスは労働者側ではなく資本家政府の側を取った。エクアドル政府の代わりをして、チャベス政府が石油を輸出すると言ったことだ。結局、罷業破壊者の役割をしたのだ。

 

チャベスは機会があるごとに、“特権層、即ちベネズエラの資本家たちを取り除くどんな計画も持っていない。我々は、過ぎし8年間こんな意思を十分に説明した。”と話した。それで、ベネズエラ信用銀行会長が“銀行が金を稼ぐ事がきわめて容易だ。この政府は、金持ち達の政府だ。”と言う程だった。

 

ベネズエラと米国の資本家たち、そして政府官僚たちが参加した或る会議で、チャベスはこの様に言った。“私は、大統領になる前にも言ったが、ベネズエラは一種の時限爆弾だ。我々は1995年と1997年に、こんな話しをよくしたものだ。チクタク、チクタク、我々はこの爆弾を解体し始めるだろう。今、この爆弾が完全に解体されたと言うことはない。1985年、1988年、1989年より今が、爆弾が爆発する可能性ははるかに少なくなった。”

 

こんなチャベスが、果たして‘革命の加速器’を踏んでいると見ることが出来るのか?

 

大部分の工場、機械、通信手段、交通手段、土地などを、資本家たちが引き続いて掌握することを投げ捨て置いて、資本家の軍隊、警察、官僚制を手付かずのまま残しているチャベスが、‘真の社会主義的民主主義を創造’していると言えるのか?

 

チャベスは、社会主義革命の主導者でなく、労働者と資本家が協調することを願いとして、労働者階級の革命的運動を抑制する、資本主義体制の‘また一つの保塁’だ。

 

そして、反動的な常備軍と、官僚的位階秩序で武装した資本家国家の

一番頭に座っている、資本家国家の自称‘左派’の首長に過ぎない。チャベスがどれだけ‘社会主義’、‘革命’のような急進的文句で労働者民衆を幻惑しようとしても、どれだけ‘左派的’で、‘進歩的’であって、‘反帝国主義的’である色彩を浮かべようとも、(我々はこの)資本家国家のポピュリスト首長を支持したり、これに幻想を吹き込むのは絶対に駄目だ。

 

“チリ社会党政府が助長した幻想を、克服出来なかったチリ労働者階級は、それ以上前進できず、アジェンデ政府とともに反動に虐殺されながら埋葬されてしまった。今、同一の道をベネズエラ労働者達が向かっている。”従っていまは、(労働者・民衆に向かって)チャベスに対する幻想を吹き込むときではなく、チャベスの限界と実態を正確に暴露しながら、労働者階級が向かう道を正確に提示する時だ。

 

この問題では、1917年のロシア2月革命で登場したブルジョア臨時革命政府(ケレンスキー政府)に対し、いかなる支持も拒否し、労働者階級を粘り強く説得し、組織し、結局ブルジョア臨時革命政府を打倒し、真の社会主義革命に向かって進んだ、レーニンとボルシェビキ革命政党の観点に従わなければならない。

 

 

統合社会主義党が、革命政党なのか?

 

 

“2006年、再選に成功したチャベスは、民衆と革命、社会主義に服務する新しい党を基層から建設する事を訴えた。この訴えに応じ約600万名が2007年4〜6月に統合社会主義党の党員に登録した。”(<問題は資本主義だ>、)

 

社労準の新聞は、あたかも、この党が‘民衆と革命、社会主義に服務する新しい党’であるかのように描写されている。更に進んで、鼻からこの党を‘革命政党’だと規定する。もともと、この統合社会主義党は、チャベスが上から建設した党であり、指導部さえ選出されずチャベスが任命した党だ。

 

この党は、名目上では、数百万名の貧困階層と労働者党員を抱かえた大衆政党だ。しかし、この党には上層国家官僚、そして親政府資本家たちの多数が入って行っている。チャベスは、“労働者と主婦、専門家と技術者達、民族資本家達を統合政党建設に参加しなさいと招待する。”と言ったが。資本家達に門戸をすっかり開いておく党は、絶対に労働者階級の革命政党であることは出来ない。

 

統合社会主義党は、内部に多様な傾向が衝突しながら共存しているが、本質的にはチャベスが率いる“大衆的階級協調政党”だ。

 

改憲国民投票時、550万党員の中で120万がチャベスの改憲案に賛成しなかった程度に、この党は、「投票」の様な、まったく低い水準の行動でも、統一性を備えていることが出来ない。こんな党を、労働者階級の生存権闘争、一歩進んで、労働者階級の社会主義革命で、はっきりとした方向の下で統一された行動を広げなければならない革命政党として考えることは、全くの‘幻想’に過ぎない。

 

 

統合社会主義党の強化なのか、独立的な革命政党建設なのか?

 

 

社労準(社会主義労働者政党準備会)の新聞は、“[ベネズエラの]21世紀社会主義革命は革命政党の民衆的結合と組織的強化にその未来が繋っている”と論旨を明らかにした。この言葉の論理的、実践的結論の中の一つは、“ベネズエラで活動するあらゆる革命的社会主義勢力が、社会主義革命の勝利の為に統社党を強化することに服務しなければならない”である。

 

それこそが、チャベスが数年間叫んできたものとして、統社党(実態は、ブルジョア人民主義政党)から、革命勢力が政治的組織的に独自性を持つことを否定したり、ベネズエラ革命運動の未来を更に暗くする立場だ。

 

真の革命勢力が、政治的、組織的独立性を確固として死守出来ず、ああだこうだとブルジョア左派政党、或いは小ブルジョア政党の補助道具に転落してしまう時、どの様に社会主義革命が破壊されたかは、中国、スペイン、フランスなど数多い国の革命がよく見せてくれた。

 

ベネズエラの労働者階級が進まなければならない真の道は、‘統社党の強化’ではなく、‘独立的な社会主義革命政党を建設’し、社会主義革命に、真っ直ぐ早く前進することだ。

 

(訳 柴野貞夫 2009年11月28日)